現在バックミラーといえば「ドアミラー」が当たり前ですが、過去を振り返れば日本では「フェンダーミラー」が常識だった時代がありました。
輸入車の場合はドアミラーが主流だったため、無理やりフェンダーミラーに仕様変更して輸入していたという時期があったのです。
一方未来に目を向けると、カメラとモニターを使用した「ミラーレス車(デジタルミラー装着車)」が普及するのではないかといわれています。
今回は通常のドアミラーからミラーレスへの変革期を迎えつつあるバックミラーの歴史について、それぞれのメリットやデメリットを含め、紹介してまいります。
実は自動車が発明されてから1950年頃までは、車体の外側に装着されるバックミラーはついていないことが普通でした。
つまり、バックミラーのない車が主流だったのです。
初代クラウン後期型にはバックミラーがない!
実際に愛知県豊田市にある「トヨタ博物館」に展示されている初代クラウンの後期型(1960年式)を見ると、バックミラーは装着されていません。輸入車でもミニやVW、シボレーなど、各社対応はまちまちでした。1962年デビューの2代目クラウンにはフェンダーミラーが装着されていますから、この辺りが国産車のバックミラー装着の始まりだったようです。
ルームミラーの歴史は古い
ではそれ以前はどうしていたかというと、現在でも車内にある「ルームミラー」はかなり昔から存在しており、後方はこのルームミラーで確認していたようです。
1960年代から80年代にかけて、日本では長年一部の車を除いてフェンダーミラーの車しか作られていませんでした。これは当時の車両運送法で「ボンネット付きの車両はフェンダーミラー以外は認めない」と明記されていたからです。
海外では1960年初頭からドアミラーが主流
一方海外では視認性の良さ(写った像がフェンダーミラーよりも大きく見える)ことや、デザイン性の良さなどからドアミラーが主流でした。日本に輸入する場合には、わざわざフェンダーミラーの車を特別に作らなければならなかったのです。
現在フェンダーミラー装着車はレア
現在は日本国内でフェンダーミラー装着車はレアになりつつあります。長らくフェンダーミラーだったタクシーも、日産セドリックの営業車やトヨタ・クラウンコンフォートといったベース車がドアミラー化してしまったため、国産の新車ではトヨタのジャパンタクシーを残すのみとなってしまいました。
フェンダーミラーのメリット
フェンダーミラーのメリットとして視線移動が少ない事があげられます。ミラー自体が遠くにあるため、前方とミラーの間で視線を移動しても違和感が少ないのです。またドアミラーに比べボディから出っ張っていないため、車体の最大幅が小さくなり、また車幅感覚も得やすくなるため、日本の狭い道に適しているというメリットもあります。
フェンダーミラーのデメリット
デメリットとしては、視線移動が少ない一方で、ミラーが遠いため映る像が「小さい」ことが挙げられます。また美しい曲線を描くフェンダー部分からミラーが「生える」ように装着されてしまうため、デザインが崩れてしまうというのも残念なポイントです。
1983年、ついに日本でドアミラーが解禁されました。ただそこにはその他の規制緩和と同じように、海外からの圧力があったといわれています。
外圧によるドアミラー解禁
海外自動車メーカーにとって、わざわざ日本仕様としてフェンダーミラーを装着した車を作らなければならないのは、コストがかかり面倒くさいことこの上ないものでした。そして時は貿易摩擦が問題となった頃だったため、諸外国から日本のドアミラー規制は「非関税障壁」(関税ではない、自由な貿易の障害となる事柄)とやり玉にあげられてしまったのです。こうしてやっと日本でもドアミラー車が生産、輸入されるようになりました。
折りたたみドアミラーは日本発
一旦ドアミラーが認められるようになると、そこは創意工夫が得意な日本、たちまち便利な機能を考えます。日本の狭い道路、狭い駐車場に対応するため、「折りたたみドアミラー」を開発したのです。当初はこの折りたたみドアミラーの採用に消極的な海外自動車メーカーでしたが、徐々に装着した車種が増え、現在ではすっかり当たり前の機能となりました。
ドアミラーのメリット
フェンダーミラーに対するドアミラーのメリットは、ミラーの位置がドライバーに近いのでミラーに写った像が「大きく見える」ということです。また歩行者との衝突安全性の面でも、形状的にフェンダーミラーよりも安全だといわれています。
ドアミラーのデメリット
構造上、どうしても車の全幅が大きくなってしまうというデメリットがあります。またタクシーやハイヤーのような後席に客を乗せる車の場合、運転席と反対のミラーを見るアクションが、後席を覗き見しているように感じられることから、長い間フェンダーミラーのままだったという逸話があります。
2016年、国土交通省がこれまでの保安基準を見直し、バックミラーを装着しないミラーレス車(デジタルミラー装着車)の走行を認めました。これにより、ミラーレス車の販売が可能となったのです。
ミラーレス車のメリット
ミラーレス車最大のメリットは「安全性の向上」です。カメラを使って視野角を広げることで死角を減らし、360°全方向の視界を確保することができます。また後方にいる人や車の映像を「データ」として扱えるため、他の安全システムと融合させやすいというメリットもあります。さらにはドアミラーがなくなることによる空気抵抗の軽減で、燃費の向上さえ期待されているのです。
ミラーレス車のデメリット
現時点のカメラとモニターの性能だと、カメラが後方を映してからモニターに映し出されるまで若干ですがタイムラグが発生するというデメリットがあります。
2016年、国土交通省がこれまでの保安基準を見直し、バックミラーを装着しないミラーレス車(デジタルミラー装着車)の走行を認めました。これにより、ミラーレス車の販売が可能となったのです。
ミラーレス車のメリット
ミラーレス車最大のメリットは「安全性の向上」です。カメラを使って視野角を広げることで死角を減らし、360°全方向の視界を確保することができます。また後方にいる人や車の映像を「データ」として扱えるため、他の安全システムと融合させやすいというメリットもあります。さらにはドアミラーがなくなることによる空気抵抗の軽減で、燃費の向上さえ期待されているのです。
ミラーレス車のデメリット
現時点のカメラとモニターの性能だと、カメラが後方を映してからモニターに映し出されるまで若干ですがタイムラグが発生するというデメリットがあります。
自動運転時代にバックミラーはどうなっていくのか?
後方だけではなく、周囲360°の視界をデータ化できるミラーレス車は自動運転と非常に相性が良いように思います。 今後バックミラーがどのように進化していくか、非常に楽しみです。