MINI 一車種徹底紹介「CLUBMAN」編

地球温暖化が問題となって久しいですが、北海道・東北・北陸といった寒冷地域はもちろん、東京を含む南関東でも年に数回は雪が積もります。
またスキー場へ行ったり、冬に山間部を走行するため、雪道への対応が必要とされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方から、
「MINIって雪道大丈夫なの?」
という質問を受けることがあります。
結論から申し上げますと、
実はMINIって意外と、ことのほか、結構、雪道走行をこなしてくれます。
今回はそんなMINIが意外と雪道に強い理由と、雪道走行時の注意点などについてお伝えしてまいります。


FFで重心の低いMINIは比較的雪でも走行しやすい

MINIの意外な雪道走破性能には、「FFであること」と「重心が低い」ということが大きく関わっています。

FFは雪道でも比較的走行しやすい

MINIといえばコンパクトなFF車の代名詞ですが、このFFというレイアウト、実は意外にも雪道に強くなっています。というのも、FF車はクルマの中で最も重いパーツである「エンジン」が駆動輪である「前輪」の上に乗っているため、路面にトラクション(駆動力)を伝えやすくなっているのです。もちろん4WD車にはかないませんが、FR車やRR車に比べれば有利となるケースが多くなります。CLUBMANはコンパクトなMINIのボディをストレッチして室内空間とカーゴスペースを拡げた「ワゴンタイプのMINI」です。カーゴスペースに荷物を満載して長いバケーションに出かけるヨーロッパでは、MINIの可愛らしいコンパクトボディを愛でつつも、「もう少し荷物が積めたらなあ」というリクエストがありました。特に車としてはミニマムなサイズだったクラシック・ミニでは、その要望が強かったのです。

重心の低くコンパクトなMINIの利点

またMINIの「ゴーカートライド」と言われるほどの重心の低さと、コンパクトなボディも雪道で有利に働きます。例えばミニバンのような重心の高いクルマの場合、カーブを曲がる際に遠心力で前輪アウト側のタイヤへ大きな力が加わります。これが雪道だとスリップにつながってしまうわけです。MINIは重心が低いですし、またコンパクトで比較的重量が軽いため、遠心力でクルマが外側に膨らみにくいというのも雪道走行での利点となります。


MINIは三種の神器でスリップを防ぐ

基本性能の高さに加え、MINIは高度な電子制御システムという「三種の神器」で雪道のスリップを防いでくれます。

DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)

DSCは濡れた路面や雪道などでスリップやボディがスライドするのを防ぐシステムです。スリップなどを感知するとコンピューターがエンジン制御システムに介入したり、4輪のブレーキをそれぞれ独立してコントロールしたりして車体を安定させてくれます。

DTC(ダイナミック・トラクション・コントロール)

DTCは駆動力を最適化し、MINIが前に進もうとするトラクションを助ける役割を果たすシステムです。いくらFF車とはいえ、滑りやすい雪道ではエンジンの駆動力を路面に伝えることが難しくなります。そこでDTCはエンジンとブレーキをトータルに制御し、駆動力を最適化することでトラクションを回復させるのです。

EDLC(エレクトロニック・ディファレンシャル・ロック・コントロール)

EDLCはカーブする時の内側のホイールが過度にスリップする状況を制御、ホイールごとにブレーキをかけてコーナーリング姿勢を安定させてくれます。

ALL4モデルなら更に安心<

MINIの4輪駆動システム「ALL4」を搭載したモデルであれば、雪道も更に安心です。通常の路面ではトルクの100%をフロントに分配、つまりまるでFF車のように振る舞い燃費を向上させるALL4ですが、雪道などの滑りやすい路面でフロントの空転を検知した途端、リアルタイムにトルクをリアに配分して(最大50:50)トラクションを確保、車体を安定させてくれます。
現在ALL4は、
MINIクーパーのクロスオーバーが3車種

  • MINIクーパーD クロスオーバー ALL4
  • MINIクーパーSD クロスオーバー ALL4
  • MINIクーパーSE クロスオーバー ALL4(PHEV)

MINIクーパーのクラブマンが1車種

  • MINIクーパーS クラブマン ALL4

MINI JCW(ジョンクーパーワークス)がクロスオーバー・クラブマンのそれぞれ1車種(計2車種)

  • MINI JCW クロスオーバー ALL4
  • MINI JCW クラブマン ALL4

の合計6車種が用意されています。雪国の方や、スキーなどによく出かける方はALL4をご検討ください。

基本的にスタッドレスタイヤを装着すれば走行可能

日本国内の道路は勾配最大12%(100m進むと12m登る)以内になるよう、全国一律で規定されています。(※ただし例外もあります)
そのため国産タイヤメーカーのテストコースには勾配最大12%以上の登坂路が設けられており、スタッドレスタイヤはそこでテストされています。
そのテストコースでの試験をパスしているのですから、国産タイヤメーカーのスタッドレスタイヤを装着していれば、極端に路面状況が悪くない限り、日本のほとんどの道路を走行できるはずです。
参考までに現在のF系のホイールとタイヤサイズを一覧にしておきます。

F55(5DOOR)/F56(3DOOR)/F57(カブリオレ)

リム幅 PCD 穴数 タイヤ幅 扁平率
15インチ
5.5J 112 5 175 65
16インチ
6.5J 112 5 195 55
17インチ
7J 112 5 205 45
18インチ
7J 112 5 205 40

F54(CLUBMAN)

リム幅 PCD 穴数 タイヤ幅 扁平率
16インチ
7J 112 5 205 55
17インチ
7.5J 112 5 225 45
18インチ
8J 112 5 255 40

F60(CROSSOVER)

リム幅 PCD 穴数 タイヤ幅 扁平率
17インチ
7.5J 112 5 225 55
18インチ
7.5J 112 5 225 50
19インチ
8J 112 5 225 45

降雪時の注意点

いくらMINIが意外と雪道に強いとはいえ、やはり降雪時には基本的な注意事項を守る必要があります。

「急」は厳禁

積雪していたり、凍結している路面では、

  • 急ブレーキ
  • 急ハンドル
  • 急アクセル

などの「急」な操作は厳禁です。
雪国で慣れた地元の方がスイスイと運転しているからといって、焦る必要はありません。無理をせず、余裕を持った運転を心がけてください。

ルーフの雪は必ず落としてからスタートする

ルーフに雪が積もったまま走行すると、ブレーキでフロントウィンドウに雪が落ちてきて視界が遮られ、非常に危険です。走行前にはスノーブラシなどでルーフの雪を落としてから発進しましょう。

ウォッシャー液の凍結に注意

雪道ではフロントウィンドウが汚れやすいため、ウォッシャー液を使用する機会が増えます。ただ寒冷地の場合は低い気温でウォッシャー液が凍結してしまうケースもあります。スキーなどで寒冷地に向かう時は、凍結しにくい「濃いめ」のウォッシャー液を使用するようにしてください。

軽油は凍りやすい、ディーゼル車は注意

軽油はガソリンよりも粘度が低いため低温状態では凍りやすく、凍ってしまうとエンジンが始動しなくなってしまいます。
そのため冬に販売される軽油は、

  • 2号軽油・・・−7.5℃以下で凍る
  • 3号軽油・・・−20℃以下で凍る
  • 特3号軽油・・・−30℃以下で凍る

というように凍結しにくい軽油が販売されています。
注意が必要なのは温暖な地域から寒冷地に向かう時で、2号軽油のままだと凍結してしまうため、途中で数回に分けて給油を行い、3号軽油や特3号軽油を「混ぜ」つつ、目的地に向かうことが必要です。

注意は怠らず、MINIで雪道を楽しみましょう

雪道走行時の基本的な注意事項を守ることが大前提ですが、FFのMINIであっても意外なほど雪道走行ができることがお分かりいただけたと思います。冬の便りが聞こえてきたこれからの季節、注意は怠らず、MINIで雪道を楽しんでみてください。


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