ミニなSUV MINI CROSSOVER

MINIにはMINIをベースに+αを加えたいわゆる「派生モデル」が数多く存在します。
他のクルマでもコンバーチブルやワゴンといった程度であれば珍しくもないのですが、ネイキッド(屋根やドアなどを全て取り払った“裸”の状態)バギーや、バックヤードビルダーたちにシャシーとパワートレインだけを残して「別のクルマ」に作り替えられてしまうミニのようなクルマはそう多くはありません。なぜMINIにはそんなに多くの派生モデルが存在するのか。
今回はMINIが派生モデルを生み出す秘密を探っていきたいと思います。

※バックヤードビルダー
自宅の裏庭やガレージでキットカーを組み立てたり、エンジンやパーツを載せ替えて楽しむ車好きの事。転じて小規模の自動車メーカー、開発者となることもあった。コーリン・チャップマン率いるロータスなども、元はバックヤードビルダーであった。


愛されるが故にいじられる

MINIにはコンパクトで、余計なものをそぎ落としたミニマムな美しさ、楽しさがあります。
しかしそんなミニマムなMINIだからこそ「+α」が欲しくなるというのが人情というもの。またその愛らしいキャラクターから、「可愛くて放っておけない」「自分で何か手を加えたい」というファン心理が働いているのも事実です。
愛されるが故にいじられる。MINIに派生モデルが多いのにはその辺りに理由がありそうです。

ベース素材となるMINIのポテンシャルが高い!
また切れの良いハンドリングやABCの各ピラーが「立っている」ことによるスクエアな室内、そしてキャラの立ったデザインなど、ベースの素材となるMINIのポテンシャルが高いことも多くの派生モデルを生む理由でしょう。
ファンならずとも「最初からこんなポテンシャルがあるのだから、少し手を加えれば更に素晴らしい一台になるに違いない!」と思わせる何かがMINIにはあるのです。

個性的なMINIを更にユニークした名車たち

元々愛らしいキャラの立った存在であるMINIは、ボディをストレッチしてみたり、屋根やドアを取り除かれる⁈などして、更にユニークなモデルを生み出していきました。

Morris MINI Traveler/Austin MINI Countryman
travelercountryman

現在のMINIでは車高の高いSUVテイストのモデルが「カントリーマン」(日本ではクロスオーバー)の名前で販売されていますが、クラッシック・ミニではモーリス・ミニ・トラベラー/オースチン・ミニ・カントリーマンという名前で販売された「MINIのエステート(ステーションワゴン)」的なモデルでした。
トラベラー/カントリーマンという名前からも分るとおり、バカンスなどで地方に旅行へ行く際に「大量の荷物」を積んで行けることを目的に開発されました。ホイールベースをストレッチされたボディの荷室外面には木製の飾りフレームを配され、実用性とファッション性を兼ね備えた洒落たコンパクトワゴンだったのです。

MINI CLUBMAN
clubman

新世代のMINI CLUBMANはMINIのエステートモデルといった性格付けですが、クラッシック・ミニではMk Ⅲ時代に登場したMINIの顔違い(フロントデザインが異なる)をCLUBMANと称して販売していました。このCLUBMANのバリエーションとしてトラベラー/カントリーマンの後継モデル「クラブマン・エステート」があり、これが現在のクラブマンのご先祖様となっています。

MINI Pickup

pickup

「コンパクトでミニマムなMINIになんとかして荷物を積み込みたい!」という想いは、ついにMINIのピックアップトラックを生み出します。ベースが超コンパクトなクラッシック・ミニですから、いくらホイールベースを伸長して後席以降を全て荷台にしたといってもそれ程多くの荷物が積み込めたわけではありませんが、小さなボディで商用車として働くMINIは「健気なMINI」として人気を博したのです。

MINI Moke

MINI Moke

MINIの派生モデルで最もユニークかつ正統的なのが「ミニ・モーク」です。モークは元々ミニの生みの親アレック・イシゴニスによって、MINIをベースとした軍用車両として開発されました。屋根もドアもないデザインは、アメリカのジープを目指していたからといわれています。しかしタイヤのサイズが小さいため最低地上高が低く、オフロード走行が苦手という「軍用車両としては致命的な弱点」があったため軍用車両として採用はされず、一般向けのレジャービークルとして発売されたのです。
その後ルーフやドアを取り去った開放感満点の「モーク」は、ビーチバギーとして人気となり、オーストラリアやマイアミ、カリブ海周辺のリゾート地などで活躍しました。現在も人気の一台です。

MINI Marcos

marcos

ミニ・マーコスはイギリスのバックヤードビルダーであるマーコスが販売していたミニをベースにしたレーシングキットカーです。手作り感満載のキットカーですが、その性能は折り紙付き。なんと1966年のル・マン24時間レースでは英国車で唯一の完走を果たした実力の持ち主なのです。MINIの派生モデルで最も武闘派な一台といえるでしょう。

まとめ

新世代となってからもCCLUBMAN、COUNTRYMAN(CROSSOVER)、CONVERTIBLEと様々な派生モデルを持つMINI。今回ご紹介した個性あふれるご先祖様に思いを馳せ、現行モデルを楽しんでみてはいかがでしょうか。



Copyright 2020 Motoren Toto MINI