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「駆けぬける歓び」のキャッチフレーズの元、数ある自動車メーカーの中でも最も「走り」に重きを置いているBMW。
そのBMWと走りを磨く技術革新の場である自動車レースの間に濃密な関係があるのはいうまでもありません。
そこで今回は、これまでBMWがどのようにレースと関わってきたかについて、くわしくお伝えしてまいります。
ミッレミリア
1920年代から50年代にかけて行われたイタリア全土を縦断する伝説のレース「ミッレミリア(イタリア語で1,000マイルの意)。
BMWはこのレースに伝説のスポーツカー「328」で参戦し、1940年、
総合優勝
チーム優勝
の2冠に加え、3位、5位、6位に入賞するという圧倒的な勝利を収めました。
ちなみにこの時の走破タイムは8時間55分、平均速度は169km/hと、当時としては驚異的なハイスピードです。
ニュルブルクリンク24時間耐久レース
そのあまりの難コースぶりに「グリーン・ヘル(=緑の地獄)」と呼ばれるニュルブルクリンク北コース。
世界一過酷なコースとして名高いこのニュルブルクリンクで24時間走り続けるという、これまた世界一過酷な耐久レースで戦ったのがスポーツセダンの傑作、「マルニ」こと2002tiです。
1970年のこのレースを最高速度220km/hで走りきり総合優勝を果たした2002tiは、「走りのBMW」の印象を強烈に焼き付けました。
また同レースでは1998年、320Dがディーゼルエンジン初の優勝という偉業を成し遂げています。
トリコロールストライプを身にまとい、レースシーンを席巻した3.0CSL
レースに参加したBMW車の中で最も成功したといえるのは3.0CSLといえるかもしれません。
その活躍ぶりは、逆に勝利を逃したレースを探すのが難しいほど。
DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)の前身であるETC(ヨーロッパ・ツーリングカー選手権)での6度の総合優勝を始め、ル・マン24時間でのクラス優勝、そしてデイトナ24時間での総合優勝など、その勝利は枚挙に暇がありません。また現在すっかりお馴染みとなったトリコロールストライプのMカラーは、1973年にこの3.0CSLに採用されて初めて世に出たものです。
第一期F1とM1プロカーチャンピオンシップ
「エンジン屋」BMWの実力を遺憾なく発揮したのが1982年から参戦した第一期F1です。
ネルソン・ピケをドライバーに迎えたブラバムチームにエンジンを供給したBMWは、参加翌年の1983年、いきなりF1ワールド・チャンピオンに輝きます。
F1史上初めてのターボエンジンは、わずか1.5Lの排気量から1,400psもの途方もないパワーを絞り出したというから驚きです。
そしてこのF1と並行して行われたのがBMW製のスーパーカー、「M1」のワンメイクレース、「M1プロカーチャンピオンシップ」です。
ネルソン・ピケはこちらでもM1のハンドルを握り、F1と共に世界中を転戦。
BMWの魅力を拡散していったのです。
DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)
スポーツセダンを得意とするBMWにとって、「ハコ」のレースであるツーリングカー選手権は主戦場。
特に地元で開催されるDTMでの活躍は目を見張るものがあります。
- 635CSi
1984年にスタートしたDTMでは635CSiがメルセデス・ベンツ、オペル、ローバー、アルファロメオ、フォード、VWといったライバルたちと、激しいバトルを繰り広げます。
- E30 M3
そしてDTMといえばこのレースで勝つために開発されたE30 M3を語らないわけにいきません。
メルセデス190E、フォードシエラ・コスワース、アウディ・クワトロといったライバルたちがひしめく中、1987年にエリック・ヴァン・デ・ポールが、1989年にはロベルト・ラヴァーリアが、それぞれBMW E30 M3でシリーズチャンピオンに輝きます。
1992年を最後に一旦撤退しますが、2012年に復帰。
するといきなりその年、BMW M3 DTMを駆るブルーノ・スペングラーがドライバーズチャンピオンに!
2014年と2016年にはマルコ・ウィットマンがBMW M4 DTMでドライバーズチャンピオンに輝いています。
SUPER GT
日本国内で行われているSUPER GTには2008年から参戦。
2011年には「グッドスマイルレーシング & スタディ with チーム右京」がZ4 GT3で第3戦、第6戦、第8戦に勝利。GT300クラスでチャンピオンとなりました。
2014,2015年にはBMW SPORT TROPHY TEAM STUDIEが加わり、Z4 GT3 2台体制での参戦となりました。
2016,2017年では、車両をM6 GT3に変更して戦闘力をアップ、BMW SPORT TROPHY TEAM STUDIEの1車体制となります。
2018,2019年はBLANCPAINシリーズ参戦の為お休みしますが、2020年よりBMW Team Studie x CSLとして、新体制での参戦を続けています。
「BLANCPAIN GT WORLD CHALLENGE ASIA」
2018,2019年、BMW Team Studieは戦いの舞台をアジア地域(マレーシア、タイ、日本、中国、韓国)に移し、GT4クラスにM4 GT4で参戦しました。
M4 GT4はスプリントレースに適した特性でレースを席巻、順位は常に上位に位置し、2018年にドライバーズタイトル、2019年にチームタイトルを獲得しました。
レースの模様はネットで観戦できることも特徴でした。
Super耐久
2020年、Super GTへの挑戦を復活させると共に、「耐久レース」にも参戦しました。
車両は前年までBLANCPAINシリーズでタイトルを総なめしたM4 GT4。
コンパクトな車体とハイパワーなエンジン、高い信頼性で耐久レースでも完走を続けています。
そして2021年スーパー耐久富士24時間レースにて「M2 CS Racing」が実践デビューしました。
初参戦ながら、クラス3位完走とM4 GT4譲りの高信頼性を示しました。
特徴はブレーキの構成を市販車同様、マスターバックを使用する形態として乗りやすさを重視、アマチュアレーサーでも好タイムを記録することが可能になった点です。
レースレギュレーションによる、パワー調整(BOP)については、複数のUSBスティックを差し替えることにより行います。
更に朗報として、この様なレース専用車両がディーラーで購入出来るようになった事もお伝えしておきます。
LMDhカテゴリーでスポーツカーレース最高峰に復帰
「電気自動車のF1」といわれるフォーミュラEに7年間参戦していたBMWは2021年のシーズンをもってフォーミュラEからの撤退を表明。
その後の動向が注目されていましたが、この度2023年から新設される新カテゴリー「LMDh」へ参加すると発表しました。
LMDhマシンはル・マン24時間レースやデイトナ24時間レース、WEC(世界耐久選手権)などにも参加できるカテゴリーで、BMWの他にもポルシェ、アウディ、アキュラ(米国ホンダ)といったメーカーが参加を表明しています。
BMWのLMDhマシンは、現在のところLMDhマシンが出走できる最初のレースになる予定の2023年デイトナ24時間時間レースでデビューすることになるようです。