BMWのFFやFRは何が違う?それぞれの特徴やこだわりをご紹介

BMWでは、ドライバーがより自然なドライブフィールを体感しやすいよう、長年FR駆動(以下FR)が採用されてきました。

そのため、人によっては「BMW=FR」というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。

しかし現在は、1シリーズや2シリーズ、X1の一部のグレードにFF駆動(以下FF)が採用されています。

また、最近ではFF、FR各駆動方式をベースにしたオリジナルの4WD「xDrive」が搭載されるモデルも増えてきました。

そこで今回は、BMWの各モデルに採用されているFFやFRはどのような特徴があるのかについて、詳しくご紹介していきます。

 

FFとFRの違い

まずはFFとFRがどのようなものなのかについて見ていきましょう。

  • FF・・・フロントエンジン・フロントドライブ
  • FR・・・フロントエンジン・リアドライブ

FFとFRは、エンジンが車体前方に配置されている点は同じですが、駆動輪が前輪か後輪かという大きな違いがあります。

車は基本的に、前輪が進行方向を決める「操舵」の役割を担っています。

そのためFFは前輪が「駆動」「操舵」両方の役割を担い、対してFRは前輪が「操舵」後輪が「駆動」と役割分担されています。

FRの特徴

メリット

  • 重量配分を均等にできる
  • 加速やコーナリング性能が優れている
  • 大排気量のエンジンが搭載しやすい

デメリット

  • 雨や雪の路面でスリップしやすい
  • 室内空間が狭くなりがち

「駆動」と「操舵」が分かれているFRは50:50という、理想的な重量配分に近付けやすい特徴があります。

また、役割分担ができる分、各タイヤへの負担も減らせるため、加速やコーナリング性能が優れています。

さらに、駆動系をリヤに搭載する分フロントにスペースが生まれやすく、大排気量のエンジンが搭載しやすくなっています。

一方で、FFのように重量物が駆動輪の上にあるわけではないため、荷重がかかりにくく、スリップしやすいデメリットがあります。

また、FRは構造上車体中央に「ドライブシャフト」を通さなければいけないため、その分車内空間に制限が生まれます。

このような特徴を持つため、FRは主にスポーツカーやセダン、クーペなどといった、走行性能を重視した車や、高級車に多く採用されています。

FFの特徴

メリット

  • 直進安定性が優れている
  • 雪や雨の路面でスリップしにくい
  • 車内空間を広く取ることができる

デメリット

  • コーナリング性能が劣る
  • 最小回転半径が大きい

FFは前輪がキャビンを引っ張る形になるため、直進安定性が高く乗り心地が優れています。

また、駆動輪上にエンジンなどの重量物を搭載するため、スリップしにくい一面も持ちます。

さらに、部品点数が少なくドライブシャフトも不要ですので、その分車内空間を広くとることもできます。

一方で、コーナリング時はどうしてもアンダーステア(走行ラインが外側に膨らむ)になりがちで、小回りも苦手とされています。

そのため、FFは主に軽自動車やコンパクトカー、ミニバンなどといった実用面を重視した車に多く採用されています。

ちなみにBMWでは、比較的コンパクトな1シリーズや2シリーズ、X1の一部モデル、プレミアムコンパクトであるBMW MINIに多く採用されています。

 

BMWがFRを多く採用するのはスポーツ性能の高さを追い求めた結果

FFとFR両方の特徴を踏まえて考えると、車に純粋な走行性能を求めるのであれば、やはりFRの方が向いていると言えるでしょう。

これまでのBMWは、メルセデスベンツやアウディなど同国のライバルメーカーが目指していた「乗り心地を重視した高級車」ではなく、スポーツ性能も考慮して開発が続けられてきました。

このように、BMWは昔から走りに対するこだわりが強かったため、結果的にごくわずかなモデルを覗いた、ほぼ全てのモデルでFRが採用されてきたのです。

BMWのFRの特徴

BMWに採用されているFRは、これまでの駆動力が持つ運動性能にさらに磨きがかかっています。

重量配分50:50の理想のレイアウトを実現し、シャープでキレのあるハンドリング特性が持ち味となっています。

また、エンジンも縦置きにし、あえて振動を左右方向に逃がすような設計になっているのもポイント。車体が前後方向にブレるのを抑制できるため、フラットで上質な乗り心地も味わえます。

 

ニーズに合わせてFFモデルも登場

走行性能を追い求めた結果、BMWではFRが多く採用されていますが、決して「BMW=FR」というわけではありません。

これまでのBMWは、走りにこだわるが故に1シリーズにもFRを採用していましたが、2019年に登場した3代目から、一部グレードでFFを採用するようになりました。

1シリーズや2シリーズが属する「Cセグメント」は、そもそもベースの車格が小さいため、これ以上スペースを犠牲にすることができません。

例えばファミリー層の方や、仕事やプライベートで荷物を沢山載せる方からすると、走行性能よりも室内空間の広さや収納能力といった実用性の方が重要です。

そう考えると、このクラスは室内空間が広く取りやすいFFの方が向いていると言えるでしょう。

BMWのFFモデル(※2024年7月時点) 

  • 118i/118d
  • 218i/218d グランクーペ
  • 218i/218d アクティブツアラー
  • X1 sDrive18i
  • iX1 eDrive20走りも重視したBMW独自設計のFFが登場

FFを採用したからといって、BMWは完全に走行性能を諦めてしまったわけではありません。

BMWはFFレイアウトを再設計し、これまでのFF車では味わうことのできなかった、オリジナルの走行フィーリングを実現しています。

BMWのFFの特徴

BMWのFFは、次のような特徴を持ちます。

  • 前輪の重量配分を約60%まで低減
  • 後輪が安定して地面を捉える「マルチリンク・サスペンション」を採用
  • アンダーステアを抑制する「タイヤスリップ・コントロール・システム (ARB) 」を採用

まず、フロントヘビーなFFのデメリットを消すために、理想の重量配分50:50に極力近付けるようにレイアウトを見直しています。

エンジンを横置きにし、なるべく運転席側に寄るような位置設計。前輪側の荷重を約60%まで低減することに成功しました。

また、リアサスペンションは高性能な「マルチリンク・サスペンション」を採用。リアタイヤが安定して路面を捉えるようになったため、その分フロントタイヤの負担が減り、より高いコーナリング性能を発揮します。

さらに「タイヤスリップ・コントロール・システム (ARB) 」を採用し、横滑りが起きた際の制御スピードが大幅に改善。FF車にありがちなアンダーステアを瞬時に抑え、キレのあるコーナリングへと導いてくれます。

このように、重量配分やサスペンション技術、そして高度な電子技術を組み合わせることで、FFでもキレのあるハンドリングが味わえるようになりました。

 

現在は独自開発の4WD「xDrive」が設定されているモデルも

ここまでFFとFRについてご紹介してきましたが、現在のBMWでは独自開発された4WD「xDrive」が搭載されたモデルも多くございます。

これまでの4WDは、悪路での走行を前提としたSUVモデルに採用されたフルタイム4WDが多く、「燃費が悪い」「曲がりにくい」といったネガティブな印象がありました。

BMWの「xDrive」は、通常走行中はFF・FRどちらかベースの駆動方式で走行し、スリップしやすい路面の走行やコーナリング時に、フロントとリアそれぞれの駆動配分を自動的に最適化してくれます。

このおかげで燃費に大きな影響を与えることなく、コーナリング性能や走破性が大きく向上しました。

 

それぞれの持ち味を生かした「駆けぬける歓び」をご体感ください

BMWのFFとFRそれぞれの違いや特徴についてご紹介しました。

走りにも妥協しないBMWは、より自然なドライブフィールが味わえるFRが多く採用されてきました。

しかし現在はBMWが開発した新しいFFレイアウトを採用しているモデルもございます。

もちろん両駆動方式の特徴は異なりますが、どのモデルでもしっかりと「駆けぬける歓び」がご体感いただけます。

Shonan/Toto BMWの店舗では、各モデル展示車や試乗車をご用意いたしております。

ぜひ実際にハンドルを握り、各駆動方式のドライブフィールを体感してみてください。

ご試乗を希望の方は、下記のフォームよりお申し込み下さい。後日スタッフよりご都合伺いのご連絡を差し上げます。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScryfc1YcnWjqEPZf22NkvvsGgF6Ra2mTm-rVcnpnNOTjWiHA/viewform

ライター情報

BMW Column編集部

BMW Column編集部です。 このコラムでは、車にまつわる情報、BMWに関する面白くてタメになる知識を発信していきます。ぜひ更新を楽しみにしていてください♪