「BMWマイスター」とは?テクニシャンの資格制度について

BMWのメンテナンスに携わるには、幅広い知識と高度な整備技術、柔軟な応用力が求められます。

BMWでは、ディーラーでメカニックとして働くスタッフのことを「テクニシャン」と呼び、テクニシャンのレベルに応じて5段階にランク分けされた「BMWマイスター」制度を採用しています。

そして、このランクのトップにある「マイスター」は、BMWのあらゆるモデルに対応できるテクニシャンだけに与えられる名誉ある称号です。

今回は「BMWマイスター」制度がどのようなものなのかや、最高ランクの「マイスター」について詳しくご紹介いたします。

 

ドイツに古くから伝わる「マイスター制度」

実は「BMWマイスター」制度は、BMW発祥国であるドイツの徒弟制度に基づいて作られています。

BMWの本国ドイツでは、古くから伝統的な職人技術や工業技術を継承するために、高度な知識や技術を持つ人に対して、優遇措置を与えるシステムが採用されています。

そしてその最高峰ランクの称号が「マイスター」と呼ばれています。

「マイスター」の認定を受けるには、一定の知識や技術を習得した上で、国家試験に合格する必要があります。

見事試験に合格すると手当や優遇措置を受けることができるのはもちろん、師匠として後継者を育てる立場になることができます。

また、現在のドイツでは「マイスター」の認定を受ける前に「ゲゼレ」と呼ばれる国家資格を取得する必要があります。

「ゲゼレ」の試験を受けるには、義務教育を終了した後、約3年〜3年半ほど職業訓練を受けなければいけません。いわば見習い期間ということになります。

そして「ゲゼレ」として働きながら技術を磨き、さらに商業的、ビジネス上の知識も身につけた上で、初めて「マイスター」の認定へとチャレンジができるようになるのです。

ちなみに「ゲゼレ」はドイツ語で「職人」、「マイスター」は「巨匠、親方」を意味します。

 

「BMWマイスター」制度とは

「BMWマイスター」制度はBMW部門とMINI部門に分かれ、それぞれ5つのランクを設定しています。

  1. マイスター・・・新旧あらゆる車種のどんなトラブルにも対応できる
  2. マスター・テクニシャン・・・現行モデルの全機能を理解し、診断プログラムを実行できる
  3. シニア・テクニシャン・・現行モデルの点検や修理が一人でできる
  4. テクニシャン・・・BMWのメカ的、電気的構造を理解し、故障診断や修理ができる
  5. ジュニア・テクニシャン・・・工場長の下で点検ができる

基準を見てみると、「マスター・テクニシャン」になった時点で、既にプロフェッショナルだと言えるかもしれません。

しかしさらにその上の「マイスター」では、旧型の車両も関係なく対応できることが条件。高度な知識・技術だけではなく、柔軟な応用力も持ち合わせている必要があります。

これまで販売されてきた無数のモデルにも対応できるBMWのスペシャリストでなければ合格することは難しいでしょう。

ちなみにBMWとMINI両方で「マイスター」の試験に合格すると、最も権威のある「BMW Groupマイスター」と呼ばれるようになります。

試験の合格率はたったの4%?

「マイスター」になるには、最短でも5年以上はかかると言われています。

ただし5年はあくまで最短の場合。実際のところは、取得までに10年以上の月日がかかることもあります。

また、全国のBMWディーラーに存在するテクニシャンの中で「マイスター」の資格を持っているスタッフはたったの1割。200人弱ほどしか存在していません。

「BMWマイスター」になるには、BMWディーラーで働きながら日々技術を磨き続けるのはもちろん、車両のメカニズムについての勉強も必要になります。

試験は年に1度だけ行われ、筆記と実技の両方をクリアしなければいけません。

しかも実技試験は25分という限られた時間の中で車に設定された不具合を見つけ出し、適切な処置を行う必要があります。

もちろん当日は車両もトラブルも非公開。これまでに培った知識や経験を応用した柔軟な対応力も求められるでしょう。

このような厳しい難関を突破し、晴れて「マイスター」の称号を手に入れることができるのはたったの4%だそう。「マイスター」が一目置かれる存在なのは、言うまでもありません。

 

「マイスター」の役割

「マイスター」になると、背中に「BMW MEISTER」の刺繍が入った作業着が手渡されます。

「マイスター」は他のテクニシャンのお手本のようなもの。BMWが誇る高い技術力と信頼性を背負って現場を引っ張っていきます。

また、「マイスター」になったからといってそれで終わりではありません。

日常業務はもちろん、常に進化するBMWのモデルに対しての知見を深め、いざという時に対応できるようにする必要があります。

それ以外にも、ドイツの徒弟制度のようにスタッフの育成を行うこともあります。技術の伝承も大事な「マイスター」の役割だと言えるでしょう。

「マイスター」が不在のお店もあるの?

先ほどご紹介したように「マイスター」の数は極めて少ないため、お店によっては「マイスター」が不在のところもあったり、「マイスター」以外のスタッフが整備に携わったりすることもございます。

しかしご安心ください。

もちろん「マイスター」以外のテクニシャンも、BMWのお車を専門に扱うプロ中のプロ。厳しい試験や研修を乗り越え、現場で技術を磨き上げたテクニシャンがお客様のお車をメンテナンスいたします。

また、「マイスター」が在籍する店舗であれば、直接作業に携わらないお車であっても、整備完了後に必ず「マイスター」による最終確認が行われます。

 

電動モデルに対応する「eマイスター制度」も新設

近年のBMWは、BEVモデルやハイブリッドモデルが続々と登場しています。

しかし、BEVモデルはガソリンモデルとは違い、モーターやバッテリーなどといった専用の部品が搭載されるため、整備を行うには電気の知識が必要になります。

そこで2019年に新設されたのが「eマイスター制度」です。

「eマイスター制度」は、これまでの自動車整備の技術に加え、高電圧コンポーネントも難無く取り扱えるテクニシャンに与えられる資格です。

こちらも5段階にランク分けされており、各段階で認定試験を受けると次の資格へとチャレンジできるようになっています。

このようにBMWでは、次世代のモデル対しても高品質なメンテナンスサービスを提供できる体制を整えております。

Shonan / Toto BMWには「BMWマイスター」が7名在籍しています

お客様のお車を常に万全の状態に保つためには、ディーラーに所属する専門技術を持ったテクニシャンの存在が必要不可欠。

表舞台に立つ機会は少ないですが、陰ながらオーナー様のカーライフを支える縁の下の力持ちだと言えるでしょう。

また、現在Shonan/Toto BMWには、今回ご紹介した「マイスター」が7名 在籍し、現役でお車のメンテナンスに携わっています。

BMWでは、ただ単にお車を買っていただいて終わりではなく、購入後のアフターサポートも充実させることで、お客様のカーライフをより充実したものにできると考えております。

各店舗のショールームに併設されている整備工場では、「マイスター」を中心に、様々なスタッフがお客様のお車に向き合っています。

お車のことで気になることがございましたら、ぜひお気軽にShonan/Toto BMWの店舗までお問い合わせください。

「マイスターは通常整備に携わらずとも完成検査で全車のチェックを行い、お客様へ安心・ご満足していただける体制である事」

ライター情報

BMW Column編集部

BMW Column編集部です。 このコラムでは、車にまつわる情報、BMWに関する面白くてタメになる知識を発信していきます。ぜひ更新を楽しみにしていてください♪