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低くてワイドな車体にロングノーズとショートデッキを組み合わせたZシリーズ。
BMWの「駆けぬける歓び」を存分にお楽しみいただける2シーターピュア・スポーツモデルとして、これまでに様々なモデルが登場してきました。
もちろん現在もZシリーズの販売は継続されています。
そこでこの記事では、BMW Zシリーズの特徴や魅力、これまでのZシリーズや現行モデルについてご紹介していきます。
BMW Zシリーズの歴史
BMW Zシリーズが登場したのは1986年 。当時のスポーツカーはロングノーズ・ショートデッキ(ボンネットが長く運転席が短い)という組み合わせのスタイルが流行しており、BMWもそれに則った2シータースポーツを発表しました。
これまでのBMWは、セダンタイプを主流に展開していましたが、純粋なオープンスポーツカーであった「BMW 507」から続くロードスターの伝統を受け継ぐ形で「Z1」を発表。
久々に登場した純粋なスポーツカーの登場は大きな話題を呼び、初公開時には生産前にも関わらず35,000台もオーダーされるほどでした。
ちなみにZシリーズの「Z」の由来は、ドイツ語の「Zukunft(未来)」の頭文字からとされています。名前からもZシリーズが未来志向型のモデルだということがわかります。
BMW Zシリーズの特徴とスペック
BMW Zシリーズは、1989年の「Z1」の販売以降、現在まで歴史が続いています。
現在は「Z4」がシリーズを引き継いでいますが、これまでに様々な名車も販売されていました。
まずは歴代のZシリーズについて見ていきましょう。
BMW Z1(E30ベース)1989-1991
Zシリーズ初のモデルとして登場したBMW Z1は、ドアがサイドシールに格納される斬新なモデル。しかも、ドアが格納されたまま走行することもできました。
ボディはグラスファイバーとプラスチックパーツで構成されており、シャシから取り外すことも可能。予備のボディを購入すれば、異なる車体カラーをお楽しみいただけるという斬新なアイデアが採用されていました。
また、伝統の直列6気筒エンジンは極力中央に寄せて配置していたため、ゴーカートのような旋回性能も持ち合わせていました。
「Z1」は全て手作業で生産されていたため、全体の販売台数は全世界でわずか8000台ほど。ユニークなモデルで、現在はプレミアが付く超希少車として知られています。
BMW Z1の基本スペック
全長・全幅・全高(mm) | 3921×1690×1277 |
車両重量(kg) | 1290 |
エンジン形式 | 直列6気筒SOHC |
排気量(cc) | 2494 |
ミッション形式 | 5速MT |
最高出力(馬力) | 170 |
最大トルク(kgf・m) | 22.2 |
生産台数 | 8000台 |
新車価格 | 約554〜587万円 |
中古車価格 | 968万円〜 |
BMW Z3(E36/E37/E38型)1995-2002
1995年に登場した「Z3」は、コンパクトで手軽に楽しめるFR車として人気がありました。
ひと目見てすぐに「Z3」だと気付く斬新なデザインが特徴的なモデルとして有名ですが、実は日本人デザイナー永島譲二氏が発案したデザインです。
当時は永島氏がクレイモデルの練習用としてデザインしたモデルが社内で高く評価され、正式なZ3プロジェクトとして採用されました。
なみに「Z3」は1995年公開の映画『007ゴールデンアイ』にも登場しており、現在は最も手に入りやすいボンドカーとして知られています。
また、「Z3」はエンジンのグレードも豊富に展開されており、お好みのモデルを選ぶこともできました。
中でも後期モデルの最上級グレードの「BMW Z3 M ロードスター / M クーペ」は、「M3」と同じ3.2リッター直列6気筒エンジンを搭載したスパルタンな仕様となっています。
BMW Z3の基本スペック※後期モデル
2.2i | 3.0i | |
全長・全幅・全高(mm) | 4060×1740×1280 | 4060×1740×1280 |
車両重量(kg) | 1310(MT)1350(AT) | 1340 |
エンジン形式 | 直列6気筒DOHC | 直列6気筒DOHC |
排気量(cc) | 2171 | 2979 |
ミッション形式 | 5速MT / 5速AT | 5速MT |
最高出力(馬力) | 170 | 231 |
最大トルク(kgf・m) | 21.4 | 30.6 |
新車価格 | 365万円〜 | 485万円〜 |
中古車価格 | 17~528万円 |
BMW Z4(E85/E86/E89/G29型)2002~
ワイド化されたボディや洗練されたエクステリア・インテリアを持つ「Z4」は、「Z3」の後継モデルとして登場。
ライトウェイトオープンの「Z3」よりも一回り大きい上位モデルで、ソフトトップの「ロードスター」だけでなく、ハードトップの「クーペ」も選ぶことができました。
また、「Z4」は現在も販売されている唯一のZシリーズで、2019年にはトヨタのスープラとプラットフォームが共用開発されています。
最新モデルには、BMWの最新運転アシスト機能「インテリジェント・パーソナル・アシスタント」も標準装備されており、安全面に関しても大きく進歩しています。
※現行型「Z4」については、次項で詳しくご紹介いたします。
BMW Z4の基本スペック※前期モデル
2.2i | 2.5i | 3.0i | |
全長・全幅・全高(mm) | 4100×1780×1285 | 4091×1781×1299 | 4100×1780×1285 |
車両重量(kg) | 1380 | 1365 | 1385 / 1390 |
エンジン形式 | 直列6気筒DOHC | 直列6気筒DOHC | 直列6気筒DOHC |
排気量(cc) | 2171 | 2494 | 2979 |
ミッション形式 | 5速AT | 5速AT | 5速AT / 6速セミAT |
最高出力(馬力) | 170 | 192 | 231 |
最大トルク(Nm) | 210 | 245 | 300 |
新車価格 | 398万円〜 | 450万円〜 | 555万円〜 |
中古車価格 | 25〜178万円 |
BMW Z8(E52型)2000~2003
ロードスターの名車である「BMW 507」をモチーフにして開発された「Z8」は、オールアルミボディに「M5」譲りの4.9リッターV8エンジンを搭載したスーパーカー。
当時BMWで最もパワフルなエンジンを搭載した、最強のロードスターでした。
長いボンネットやフラットなキドニーグリル、美しい曲線美を持つフェンダーなど、芸術的価値も非常に高いデザインとなっており、現在も高く評価されています。
ちなみに1999年に公開された映画『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』のボンドカーにも採用されています。
「Z8」も職人の手により1台1台手作業で製作されていたため、総生産台数はわずか5703台。
中古車市場でも滅多にお目にかかれませんが、Zシリーズを語る上で決して外すことができない伝説的なモデルだと言えるでしょう。
BMW Z8の基本スペック
全長・全幅・全高(mm) | 4400×1830×1317 |
車両重量(kg) | 1585 |
エンジン形式 | V型8気筒DOHC |
排気量(cc) | 4941 |
ミッション形式 | 6速MT |
最高出力(馬力) | 400 |
最大トルク(kgf・m) | 51.0 |
生産台数 | 5703台 |
新車価格 | 1650万円 |
中古車価格 | 2698万円〜 |
現行BMW Zシリーズのラインナップ
現在販売されている唯一のZシリーズである「Z4」には、以下の2モデルがラインナップされています。
- Z4 sDrive20i M Sport
- Z4 M40i
直列4気筒エンジンを搭載する「Z4 sDrive20i M Sport」と、直列6気筒エンジンを搭載する上位モデル「Z4 M40i」となります。
第3世代になりボディがワイド化され、ホイールベースは短縮。よりコーナリング性能が優れたモデルに進化しています。
両グレード共にソフトトップが採用されており、柔らかで流麗なボディラインとなっております。ちなみにソフトトップは、時速50km/h以下であれば走行中でも10秒程で開閉が行えます。
また、ベーシックモデルの「Z4 sDrive20i M Sport」は、「Z4 M40i」と比べて一回り小さいエンジンを搭載していますが、その分車重が90kgほど軽くなっています。
機敏に走り回ることができるため、日常的にお車に乗られる方や、気軽にドライブをお楽しみいただきたい方におすすめです。
上位モデルの「Z4 M40i」は、トヨタのスープラと共通の直列6気筒エンジンが搭載されています。
滑らかなエンジンフィールと、力強い加速力が持ち味ですので、本格的なスポーツドライブを楽しみたい方に向いているでしょう。
Z4 sDrive20i M Sport | Z4 M40i | |
全長・全幅・全高(mm) | 4,335×1,865×1,305 | 4,335×1,865×1,305 |
車両重量(kg) | 1490 | 1580 |
エンジン形式 | 直列4気筒DOHC | 直列6気筒DOHC |
排気量(cc) | 1998 | 2997 |
ミッション形式 | 8速スポーツAT | 8速スポーツAT |
最高出力(馬力) | 197 | 387 |
最大トルク(Nm) | 32.6 | 51.0 |
0-100km/h 加速性能(秒) | 6.7 | 4.1 |
WLTCモード燃費(km/L) | 14.1 | 12.2 |
新車価格 | 760万円〜 | 912万円〜 |
BMWのスポーツカーで「駆けぬける歓び」を
BMWシリーズの中でもピュア・スポーツカーとして位置付けられるZシリーズのご紹介でした。
複数のシリーズを横断して開発されるZシリーズは、コンパクトなものから歴史的名車まで、様々なモデルが登場してきました。
現在のZシリーズは「Z4」のみ新車でお買い求めいただけますが、中古車市場で取引されているモデルもございます。
あなたのカーライフに合った最適なZシリーズを手に入れてみてはいかがでしょうか。