BMWといえば、「駆けぬける歓び」というキャッチフレーズを具現化したスポーティーなセダン作りを得意とする自動車ブランドです。
そのBMWの中でも5シリーズは中核を担うモデルであり、BMW全車の基本となる「メートル原器」と呼ぶべきシリーズといえます。
今回は歴史的名シリーズ「ノイエ・クラッセ」の直系の子孫であり、BMWを代表する存在である5シリーズの魅力を余すところなくお伝えしてまいります。
BMW 5シリーズの特徴
BMW5シリーズは、3シリーズなどが属するDセグメントの1つ上、Eセグメントに属し、いわゆる「アッパー・ミドル・サルーン」にカテゴライズされるスポーティーセダンです。
ドイツでは、会社の部長職以上の上層部社員・役員にクルマを支給する「カンパニーカー」制度が一般的となっています。
支給されるのはドイツプレミアムブランドのミドルクラス以上が一般的ですが、5シリーズはその中でも最も人気があり、採用率の高い1台です。
現行の5シリーズセダンは全長が約5mに及ぶ堂々としたボディを持ちますが、ハンドルを切り込むと「スッ」と(スーッとではないところがポイント)反応するところなどは、一クラス下の3シリーズを思わせる軽快さであり、スポーティー・セダンの面目躍如といえます。
歴代のBMW 5シリーズ
5シリーズは、BMW存続の危機を救った大ヒットシリーズ、ノイエ・クラッセの直系の子孫に当たります。
1962年にデビューしたBMW1500(ノイエ・クラッセ最初のモデル)は、1963年に1800、1966年には2000と大排気量バージョンを発表し、この2モデルはノイエ・クラッセの中でも最大のヒットモデルとなります。
このBMW1800・2000をベースに開発されたのが初代BMW5シリーズです。
初代BMW 5シリーズ(1972-1981年)E12型
初代5シリーズは1972年、BMW1800・2000の後継車としてデビューしました。
シャシーなど基本コンポーネントはBMW1800・2000をベースとしていますが、ヘッドライト周りのデザインなどは大幅な変更を受けています。
【初代520i(前期型1972-1975)のスペック】
モデル名 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) |
520i | 4,620 | 1,690 | 1,425 |
エンジンの種類 | 総排気量(cc) | 最高出力(hp/rpm) | 最大トルク(Nm/rpm) |
ガソリン | 1,990 | 130/5,800 | 178/4,500 |
2代目BMW 5シリーズ(1982-1988年)E28型
2代目となるE28型がデビューしたのは1982年。
世界一美しいクーペといわれた6シリーズと共通のプラットフォームが使用されています。
そのため前傾したフロントフェイスも健在で、美しいフォルムが自慢です。
【2代目520iAのスペック】
モデル名 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) |
520iA | 4,620 | 1,700 | 1,415 |
エンジンの種類 | 総排気量(cc) | 最高出力(hp/rpm) | 最大トルク(Nm/rpm) |
ガソリン | 1,990 | 129/6,000 | 174/4,000 |
3代目BMW 5シリーズ(1988-1995)E34型
3代目のE34型がデビューしたのは、日本のバブル期である1988年でした。
E32型の7シリーズと共通のシルエットを持つ新デザインのボディは、2代目までのモデルとは一線を画す現代的なものとなりました。
そのため空力特性も大幅に向上しています。
【3代目525i(前期型1988-1991)のスペック】
モデル名 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) |
525i | 4,720 | 1,750 | 1,425 |
エンジンの種類 | 総排気量(cc) | 最高出力(hp/rpm) | 最大トルク(Nm/rpm) |
ガソリン | 2,493 | 168/5,800 | 222/4,300 |
4代目BMW 5シリーズ(1996-2003)E39型
1996年にデビューした4代目、E39型5シリーズは、日本人デザイナーである永島譲二氏がデザインしたことで注目されました。
またトラクションコントロールやDSC(横滑り防止装置)といった最新の安全装備が採用されているのもトピックです。
【4代目528i(前期型1996-1998)のスペック】
モデル名 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) |
528i | 4,775 | 1,800 | 1,435 |
エンジンの種類 | 総排気量(cc) | 最高出力(hp/rpm) | 最大トルク(Nm/rpm) |
ガソリン | 2,793 | 190/5,300 | 280/3,950 |
5代目BMW 5シリーズ(2003-2010)E60/E61型
2003年にデビューした5代目、E60型の5シリーズは、BMWの執行役員も兼任したチーフデザイナー、クリス・バングルのチームによるもの。
従来モデルの丸みを廃し、エッジを多用したデザインは大きな話題を集めました。
技術面ではハンドリング性能向上のため、「アクティブステアリング」と呼ばれる、走行速度によってステアリングギア比を変化させる可変ギアレシオ・パワーステアリングを採用しています。
【5代目525iのスペック】
モデル名 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) |
525i | 4,855 | 1,845 | 1,470 |
エンジンの種類 | 総排気量(cc) | 最高出力(hp/rpm) | 最大トルク(Nm/rpm) |
ガソリン | 2,493 | 192/6,000 | 245/3,500 |
6代目BMW 5シリーズ(2009-2016)F07/F10/F11型
6代目の5シリーズは2009年にデビューしますが、特徴的なのは従来型のセダンやツーリング(ワゴン)よりも先に、5ドアハッチバックのグランツーリスモ(GT F07)が先に発表されたことです。
セダンとツーリングは翌2010年に発表。
コンポーネントをF01型の7シリーズと共用しているため、ボディサイズは先代よりも更に大型化しています。
【6代目535iのスペック】
モデル名 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) |
535i | 4,910 | 1,860 | 1,475 |
エンジンの種類 | 総排気量(cc) | 最高出力(hp/rpm) | 最大トルク(Nm/rpm) |
ガソリン | 2,979 | 306/5,800 | 400/1,200-4,500 |
7代目BMW 5シリーズ(2017-現在)G30/G31
現行7代目、G30型5シリーズは、2017年にデビューしました。
アルミや超高張力鋼板を多用することで先代モデルに比べてボディサイズはアップしていながらも約100kgの軽量化を果たしています。
大幅な軽量化とBMWがこだわる50:50の前後バランス、低重心化の効果は絶大で、ハンドリングに優れるクルマを表現するのによく用いられる「まるで一回り小さなクルマを運転しているような」という言葉がピッタリの、軽快なドライビングプレジャーが自慢です。
BMW 5シリーズのラインナップ
セダン(G30)のラインナップ
現在日本に導入されている5シリーズセダンは、直列4気筒ガソリンエンジンを搭載した523i、ディーゼルエンジンを搭載した4駆モデルの523d xDrive、V8エンジンを搭載したMパフォーマンスモデルのM550i xDrive及び、PHEVの530eの4車種となります。
【523iのスペック】車両本体価格¥8,150,000(税込M Sport)
モデル名 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) |
523i | 4,975 | 1,870 | 1,480 |
エンジンの種類 | 総排気量(cc) | 最高出力(ps/rpm) | 最大トルク(Nm/rpm) |
ガソリン | 1,998 | 184/5,000 | 290/1,350-4,250 |
【523d xDriveのスペック】車両本体価格¥8,610,000(税込M Sport)
モデル名 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) |
523d xDrive | 4,975 | 1,870 | 1,480 |
エンジンの種類 | 総排気量(cc) | 最高出力(ps/rpm) | 最大トルク(Nm/rpm) |
ディーゼル | 1,995 | 190/4,000 | 400/1,750-2,500 |
【530eのスペック】車両本体価格¥9,000,000(税込M Sport)
モデル名 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) |
530e | 4,975 | 1,870 | 1,480 |
エンジンの種類 | 総排気量(cc) | 最高出力(ps/rpm) | 最大トルク(Nm/rpm) |
ガソリン | 1,998 | 184/5,000 | 300/1,350-4,000 |
※モーター最高出力75ps/最大トルク265Nm
【M550i xDriveのスペック】車両本体価格¥13,620,000(税込)
モデル名 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) |
M550i xDrive | 4,975 | 1,870 | 1,480 |
エンジンの種類 | 総排気量(cc) | 最高出力(ps/rpm) | 最大トルク(Nm/rpm) |
ガソリン | 4,394 | 530/5,500 | 750/1,800-4,600 |
ツーリング(G31)のラインナップ
現在日本に導入されている5シリーズツーリング(ワゴンモデル)は、ディーゼルエンジンを搭載する523d xDrive ツーリング、直列4気筒ガソリンエンジンを搭載した530i ツーリング、および直列6気筒ガソリンエンジンを搭載した540i xDrive ツーリングの3車種となります。
【523d xDriveツーリングのスペック】車両本体価格¥9,090,000(税込M Sport)
モデル名 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) |
523d xDrive | 4,975 | 1,870 | 1,500 |
エンジンの種類 | 総排気量(cc) | 最高出力(ps/rpm) | 最大トルク(Nm/rpm) |
ディーゼル | 1,995 | 190/4,000 | 400/1,750-2,500 |
【530iのスペック】車両本体価格¥8,630,000(税込M Sport)
モデル名 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) |
530iツーリング | 4,975 | 1,870 | 1,480 |
エンジンの種類 | 総排気量(cc) | 最高出力(ps/rpm) | 最大トルク(Nm/rpm) |
ガソリン | 1,998 | 252/5,200 | 350/1,450-4,800 |
【540i xDriveツーリングのスペック】車両本体価格¥11,810,000(税込)
モデル名 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) |
540i xDriveツーリング | 4,975 | 1,870 | 1,480 |
エンジンの種類 | 総排気量(cc) | 最高出力(ps/rpm) | 最大トルク(Nm/rpm) |
ガソリン | 2,997 | 340/5,500 | 450/1,500-5,200 |
まとめ
5シリーズはBMWの現行車種で最も歴史があり、ビジネスにも、フォーマルにも、カジュアルにも、どんなシチュエーションにもマッチし、更にはドライビングを楽しむことができる「万能な1台」です。
SAV(=SUV)が流行する昨今ですが、もう一度究極の万能スポーティーセダン、5シリーズを見直してみてはいかがでしょうか。