BMWが実現する「レベル3」の自動運転とは?

2020年4月、自動運転「レベル3」を実現するために必要な法律、「道路交通法」と「道路運送車両法」が改正、施行されました。

最新の技術の進化に法整備が追いつかないケースが多い我が国としては、珍しくタイムリーで適切な法改正でした。

この法改正を受けて2021年3月、市販車として世界初の「レベル3」ホンダ レジェンドが発売されました。

ただこのレジェンドは「100台限定」「リース販売」という限られた販売方法で、「テスト販売」という印象も拭えないものです。

そこで期待されているのが海外メーカーの中でも自動運転技術の先進性に定評があるBMWです。

今回は自動運転の「5つのレベル」の解説をはじめ、レベル2までの「運転支援」とレベル3以上の「自動運転」の間にある大きな隔たりについて、くわしくお伝えしてまいります。

自動運転の「5つのレベル」

まずは自動運転の「5つのレベル」について確認しておきましょう。

レベル1「運転支援」

レベル1では自動運転というよりも、ドライバーの負担を軽減したり、「うっかり」を防止するといった「運転支援」が中心となります。

具体的にはストップ&ゴー機能付きのアクティブ・クルーズ・コントロールや、被害軽減ブレーキ付きの衝突・歩行者回避システムなどが該当する機能となります。

このレベル1については全てのBMW車に導入されており、多くのモデルでは次のレベル2にまで達しています。

レベル2「部分運転自動化」

レベル2ではレベル1の機能に加え、いくつかの「機能が自動化」されます。

BMWでは多くの車種で車線の中央付近を走行するようにステアリングを自動でアシストする自動運転補助に準ずるシステム「ステアリング&レーン・コントロール・アシスト」を装備。

渋滞時など一定の条件下であればステアリングから手を話していることが可能な「ハンズ・オフ・アシスト」といったレベル3に迫る機能も持ち合わせています。

レベル3「条件付き運転自動化

レベル2まではいくつかの機能を自動化する程度でしたが、レベル3では一定の条件下であればクルマに運転を任せることができます。

もちろん緊急時などシステムが要求した場合には、直ちにステアリングを操作できるようにしていなければなりませんが、今回の法改正で自動運転中にスマートフォンなどを見ていることはOKになりました。

ただしレベル3ではまだ「運転する主体」はクルマではなく人間ですし、条件外の場合はハンドルを握らなければならないため、「仮眠」をとったりすることはできません

レベル4「高度運転自動化」

レベル4はほとんどの運転操作を自動でこなすことができるようになる状態です。

複雑な都市部での道路状況にもクルマが対応し、例えば急に工事現場に行き当たっても、ドライバーが運転に介入することなく、自動運転が継続されます。

このためレベル4ではドライバーが「仮眠」することも可能になります。

ただし必要な時はドライバーがハンドルを握らなければならないため、やはりドライバーは必要です。

仮眠中などでドライバーが警告アラームに応えない場合は、クルマが路肩などに自動停止し、安全を確保します。

レベル5「完全運転自動化」

レベル5ではすべての操作をクルマがおこなうため、ドライバーが必要なくなります。

運転席はなくなり、車内の人間はすべて「乗客」となります。

AIが運転手のタクシーに乗っているというイメージでしょうか。

 

「自動運転」と呼べるのはレベル3から

レベル2とレベル3の間には大きな隔たりがあります。

レベル3では限られた条件下とはいえ、「自動運転」状態が発生するからです。

このことは「運転主体」つまり「誰が運転しているのか?」という問題につながっていきます。

運転主体が「人間」であれば事故が起こった場合に責任を取るのは「人間」となりますが、運転主体が「クルマ」だった場合、クルマを製造した自動車メーカーが責任を取らなければならなくなります。

そのためこの運転主体がはっきりしないことには、自動車メーカーとしても恐ろしくてレベル3のクルマを発売することができなかったのです。

 

日本国内でレベル3を実現するために法改正が行われた

レベル4はほぼ完全な自動運転ですから運転主体は「クルマ」だと考えられますが、レベル3はグレーゾーンで、人間かクルマか、運転主体がはっきりしていませんでした。

そこで今回道路交通法の改正が行われ、「自動運転装置」による走行も従来の「運転」と定義されました。

つまり、レベル3では運転主体は「人間」ということになったのです。

これにより各自動車メーカーは安心してレベル3のクルマを開発、販売することができるようになりました。

 

2022年BMWは市販車において「レベル3」を実現予定

アメリカのメディアによると、BMWの開発責任ディレクターであるFrank Weber氏

が「2022年後半に北米で発売する次世代型7シリーズにレベル3の機能を搭載する」と語ったと報じられました。

Weber氏によると、レベル3の自動運転機能はトップオブセダンである7シリーズに搭載された後、順次5シリーズやXシリーズに展開されていくとのことです。

ライター情報

BMW Column編集部

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