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BMWの正式名称は「Bayerische Motoren Werke AG」、日本語に訳すと「バイエルン発動機製造株式会社」となります。つまり、「ドイツのバイエルンにある、エンジンなどの発動機を作る会社」というのがBMWの正体なのです。しかしそんな「エンジン屋」を標榜するBMWでさえ、世界を席巻する「EVシフト」の波には抗えません。「SDGs」「サステナブル」といったキーワードと「駆けぬける歓び」をどう両立させるか。今回はこの難しい問題へのBMW流の答え「iシリーズ」について、くわしくお伝えしてまいります。
BMW iシリーズとは?
BMW iシリーズとは、革新的な「環境配慮型モデル」として新たに開発された、BMWのEV(Electric Vehicle)におけるサブブランドです。
「innovation(革新)」の頭文字である「i」を冠したiシリーズは、330eや530eといった各モデルをベースにPHEV(プラグ・イン・ハイブリッド)化した「e仕様車」とは異なり、全く新しいモデルを創り上げるというコンセプトで開発されています。
BMW iシリーズの歴史
長い間BMWのモデル名に付く「i」とは「injection(噴射)」という内燃機関(エンジン)のテクノロジーを示すものでした。
しかし2011年、BMWは「Born electric(ボーン・エレクトリック)」というブランドコンセプトの元、iシリーズを立ち上げます。
そして同年の国際モーター・ショー(IAA)でコンセプト・カーである「Megacity Vihicle(メガシティ・ビークル)」を発表。
このMegacity Vihicleは2年後の2013年、BMW初の量産型電気自動車「i3」となり、翌2014年には「i8」がデビューします。(※i8はPHEV)
2020年代になるとEV化の流れは更に加速し、2020年にはEVのSUVモデル「iX3」、そしてiブランド10周年となる2021年には流麗なデザインのスポーティモデル「i4」、iシリーズにおけるフラッグシップSUV「iX」と矢継ぎ早にラインナップを拡充。
iシリーズは通常モデルと肩を並べるほどのブランドに成長しつつあります。
BMW iシリーズの航続可能距離
BMW iシリーズは効率的なドライブトレイン・コンセプト、軽量ボディ、高い空力性能、そしてパワフルなハイボルテージバッテリーの相互作用により、長い航続可能距離を実現しています。
最新のi4 eDrive40やiX xDrive50では無充電で東京→大阪間を走行できる程です。
航続可能距離 | |
i3 | 360km |
iX3 | 461km |
i4 eDrive40 | 590km |
i4 M50 | 510km |
iX xDrive40 | 425km |
iX xDrive50 | 630km |
※i3のレンジ・エクステンダー装備車では466km
※なお航続可能距離は気温、走行速度などにより上下します。
BMW iシリーズ ラインナップ
i3 BMW iシリーズ初の市販車
iシリーズの原点、BMW初の量産型電気自動車である「i3」。
アクセルを踏めば加速、離せば減速する「ワンペダルドライビング」を某国産車がアピールしていましたが、実はこのi3の方が先輩です。
またコンパクトで一見可愛らしいデザインのi3ですが、リアモーター・リアドライブのRRレイアウトを採用しており、後輪駆動ならではの優れたドライバビリティとハンドリングを実現しているのもポイント。
EVなれど、駆けぬける歓びは忘れてはいません。
iX3 BMW初の電動SUV
2020年にデビューしたiX3は第5世代のBMW eDriveテクノロジーを搭載した最初のモデルとなります。
第5世代のBMW eDriveとは、「モーター」「エレクトロニクス系統」「トランスミッション」を1つのユニットに統合したもの。
重量物を中央のハウジングに一体設計したことにより、省スペース化とBMWがこだわる重量バランスを理想的に保つことに一役かっています。
デザインはベースとなったX3にかなり近く、さりげなくEVに乗りたいという方には最適の1台です。
i4 eDrive40流麗なEVグラン・クーペ
2021年にデビューしたi4 eDrive40は流麗なデザインを持つピュアEVのグラン・クーペ。
BMWらしいスポーティさに、快適さ、そしてサステナブル(持続可能)なパフォーマンスを併せ持ちます。
リアに搭載されたモーターは340psのパワーと43.7kgmのトルクを発生し、0〜100km/h加速は5.7秒という俊足。
また高速充電への対応も万全で、31分でバッテリーの10〜80%を充電することができ、わずか10分の充電で最大164kmもの走行が可能になっています。
i4 M50 スーパースポーツに匹敵する動力性能
i4 M50はフロントとリアにそれぞれにモーターを搭載したツインモーターシステムを採用し、544psのパワーと、80.8kgmのトルクという性能を叩き出します。
これは最新の「M4クーペ・コンペティション」をパワーで約30ps、トルクで約15kgm上回るという途方もないもの。
実際の加速も0〜100km/hが3.9秒とM4クーペ・コンペティションに肩を並べます。
この性能はスーパースポーツに匹敵するといっても過言ではありません。
最速のEVがお望みなら、ぜひ狙ってみたい1台です。
iX 新時代のフラッグシップSUV
BMWの車名ルールである3・5・7といったナンバーが付かない「iX」は、iシリーズ全体のフラッグシップという位置づけです。
全長4953mm、全幅1967mm、全高1695mmというボディサイズは現行のX5に比較的近いものですが、比較すると15mm長く、37mm狭く、53mm低くなっており、印象はかなり異なります。
新型M3/M4と同様の巨大なキドニーグリルは迫力満点。
ツインモーターシステムからの出力は523ps/77.8kgm、航続可能距離は630kmとフラッグシップの名にふさわしい性能を誇っています。
※出力・航続可能距離は共にiX xDrive50のもの
まとめ
エンジンを搭載していないiシリーズであっても、フラッグシップであるiXからもっともコンパクトなi3に至るまで、「駆けぬける歓び」を決して忘れないのはさすがBMWといったところです。
近い将来に内燃機関が全廃されることが決まっているドイツですが、これならばユーザーの皆さまも安心できるのではないでしょうか。