美しき4ドア「グラン・クーペ」

BMWには「世界一美しいクーペ」と称された「635CSi」から脈々と受け継がれた流麗なクーペの伝統があります。
現在は

  • 2シリーズ
  • 4シリーズ
  • 8シリーズ

として3種類のクーペがラインナップされているのですが、これらにはそれぞれ4ドアバージョンの「グラン・クーペ」も存在します。
ここでちょっとクルマにくわしい方なら「あれ?クーペってたしか2ドアハードトップのことを指すんじゃなかったっけ??」と思われるかもしれません。
また「4ドアだったら3シリーズや5シリーズのようなセダンとどう違うんだ?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。
確かにその通りです。「635CSi」はもちろん、最近までクーペといえば2ドアハードトップが通常でした。
では近年人気となっているグラン・クーペを始めとする4ドア・クーペとはどのように定義するべきなのでしょうか?
今回はBMWの美しき4ドア「グラン・クーペ」を理解するため、「クーペ」「セダン」といったボディ形状について考察してみたいと思います。

グラン・クーペとは?

グラン・クーペについて考える前に、そもそも「クーペ」や「セダン」といった基本的なボディ形状とはどのようなものなのか?ということを考えてみたいと思います。

クーペの定義

多くのボディ形状の名称がそうであるように、「クーペ」の語源も馬車に由来します。
4枚ドア・2(又は3)列シートの馬車を半分に切った馬車、つまり2枚ドア・1(又は2)列シートの馬車を「カロッス・クペ」(フランス語、「切られた馬車」の意)と呼んだことから、2ドアで流麗なボディを持ち、スポーティーなクルマを「クーペ」と呼ぶようになりました。

セダンの定義

セダンの語源は、人を乗せて運ぶ窓のある密閉された箱=「輿(こし)※」を「セダン・チェア」と呼んだことから、

  • 箱のように四角
  • エンジンルーム、車内、トランクルームがそれぞれ独立して密閉されている(オープンではない)

車を「セダン」と呼ぶようになりました。

この定義からするとドアの数は2ドアでも4ドアでも良いことになり、実際にアメリカ車などでは2ドアセダンも存在しましたが、現在では比較的ボックス形状で4ドアの車をセダンと呼んでいます。

ちなみにイギリスでは「サルーン」、イタリアでは「クワトロポルテ(4つの扉の意)」とも呼ばれています。

※輿とは昔身分の高い人を乗せ、御神輿のように人が担いで移動した乗り物のことです。

スタイリッシュな4ドア・クーペ = グラン・クーペ?

クーペはその流麗で美しいデザインが魅力ですが、2ドアのため実用性はセダンに劣ります。
一方セダンは実用性に優れますが、四角を基調としたデザインは「無骨」といえないこともありません。
そこで両者のいいとこ取りをして、「クーペの流麗なデザイン」+「4ドアセダンの実用性」を組み合わせて誕生したのがスタイリッシュな4ドア・クーペ、BMWの「グラン・クーペ」というわけです。
具体的にはセダンに比べ全高を低くし、AピラーとCピラーを「寝かせて」、サイドから見たときに美しいルーフラインを描くようにデザインされています。

2シリーズ グラン・クーペ

グラン・クーペはその流麗なデザインが魅力。
そのため2シリーズのようなコンパクトなボディでは本来実現が難しいはずです。
ただ幸いなことに2シリーズではレイアウトがFF化されたことで多様なパッケージが可能となりました。
実際2シリーズのグラン・クーペはプラットフォームを共有する1シリーズとホイールベースは同じ(2670mm)ですが、全長は300mmあまりも長い4540mmと堂々としたもの。
それによって伸びやかで美しいデザインが可能となったのです。
また全長が伸びたことでラゲッジスペースも広く、実用性も大幅にアップしています。

4シリーズ グラン・クーペ

4シリーズのフルモデルチェンジにともない、4シリーズのグラン・クーペも初のフルモデルチェンジを行いました。
同じ4ドアではありますが、巨大なキドニーグリルやAピラーからCピラーへと流れるように続くルーフラインなど、3シリーズのセダンとは全く異なる個性が魅力を放っています。

8シリーズ グラン・クーペ

「グラン」という接頭語には「雄大な」とか「豪華な」という意味があります。
そんなグラン・クーペの名に最もふさわしいのが8シリーズのグラン・クーペです。
8シリーズのクーペに比べ、全長60mm、全幅30mm、ホイールベースは205mmもアップした雄大かつ優雅なボディ。
そしてトップモデルであるM8グラン・クーペの心臓には625ps/750Nmを発生するBMW最強のV8 Mツインパワー・ターボ・エンジンを搭載。
最も雄大でかつ美しく、最も速いBMW、それが8シリーズ グラン・クーペなのです。

まとめ

「美しいデザインと快適性の両立」
オールマイティに満足を得ることができるBMWのグラン・クーペを、ぜひ一度ご覧になってみてください。
必ずや心惹かれるはずです。

 

 

ライター情報

BMW Column編集部

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