【BMW MINI】歴代モデルの特徴や変遷、現行ラインナップを紹介

BMWといえばフロントにエンジンを配置し、リアタイヤを駆動するFR(フロントエンジン・リアドライブ)レイアウト車の代名詞です。

一方のMINIといえば、フロントにエンジンを配置してフロントタイヤを駆動するFF(フロントエンジン・フロントドライブ)レイアウト車のパイオニアとも呼べる存在。

一見相反するイメージを持つこの2つのブランドは結びつきにくいのですが、MINIがBMWグループの一員になって既に20年以上が経過し、現在ではすっかりおなじみとなりました。

今回はそんなBMW MINIの歴代モデルと現行ラインナップを紹介し、その魅力に迫ってまいります。

 

「BMW=メーカー」「MINI=ブランド」「クーパー=グレード」

MINIの話をすると「ああ、MINI・クーパーね」とおっしゃる方がいらっしゃいます。

「MINI」ではなく、「MINI・クーパー」というブランドだと思われているわけです。

それほどに「MINI」と「クーパー」は強く結び付けられているのですが、実はこの理解の仕方は正確ではありません。

実はBMWという自動車メーカーが製造する1ブランドが「MINI」であり、クーパーは「ONE」「COOPER(クーパー)」「COOPER D」「COOPER S」といったグレードの名称なのです。

では一般的にはMINI=MINI・クーパーと認識されるほどメジャーとなったこの「クーパー」というグレードは、どのようにして生まれてきたのでしょうか。

クーパーのネーミングの由来、伝説のエンジニア「ジョン・クーパー」について

クーパーというネーミングは、クラッシック・ミニを開発したミニの生みの親アレック・イシゴニスの友人であるジョン・クーパーの名前がその由来です。

イシゴニスが開発していたミニのプロトタイプをクーパーに見せると、天才エンジニア はその優れたハンドリング性能にレーシングマシンとしてのポテンシャルをひと目で見抜き、ラリーマシンのベースモデルにすることを提案。

その後クーパーはミニをベースに、ボアアップしたエンジンやオリジナルのギアボックス、独自のブレーキングシステムなどを装備してグループ2のラリーマシンに仕立て上げます。

これが元祖「ミニ・クーパー」です。

こうして誕生したミニ・クーパーは、モンテカルロ・ラリーでの3度の優勝などラリーシーンで大活躍。

市販モデルとしても大成功し、ミニといえば「ミニ・クーパー」といわれる程になったというわけです。

 

BMW MINIの特徴

オリジナル・ミニは「ゴーカートフィーリング」と呼ばれる独特の乗り味で表現される優れたハンドリング性能が魅力でしたが、一方で現代的な視点で見ると、その居住性や安全性能については劣っていると言わざるを得ない部分もありました。

しかし全く新しく設計されたBMW MINIは、オリジナル・ミニの優れたハンドリング性能はそのままに、居住性や安全性を飛躍的に高めています。

また全長に比べると広いトレッドと、小さいオーバーハングからもたらされる四隅に取り付けられたタイヤというエクステリアデザインはオリジナル・ミニの面影を色濃く残し、またオリジナル・ミニのメーターへのオマージュともいえる円形のマルチインフォテイメントシステムを始めとするインテリアデザインもMINIが持つオリジナリティあふれる世界観を存分に味わうことが可能です。

更にはボディカラーとルーフ・ミラーキャップの色をオーダーメイド感覚で選び、自分だけの1台を作り上げることができるなど、MINI以外のクルマでは実現できないオシャレな楽しみ方もできる点などは、唯一無二の「MINIワールド」といえるでしょう。

 

歴代のBMW MINI

BMW MINIは1994年にクラッシック・ミニを生産していたローバーをBMWがその傘下に収めたことで開発がスタートしました。

その後ローバーは経営が悪化しBMWの参加から離脱してしまいますが、小型FF車のラインナップが必要だったBMWは開発を続行。

こうして2001年、新生BMW MINIが誕生し、2回のフルモデルチェンジを経て現在に至っています。

初代BMW MINI(2001-2006年)R50/52/53型

2001年にデビューした初代BMW MINIは、クラッシック・ミニの面影を色濃く残した3ドアハッチバックとコンバーチブルの2つのボディ形状が用意されました。

そしてそれぞれ「ONE(ワン)」「クーパー」「クーパーS」の3つのグレードがあり、

ベーシックなONEは90psのエンジンに5速MTまたはCVT(無段階変速装置)の組み合わせ、クーパーは116psのエンジンにやはり5速MTまたはCVTの組み合わせ、そして最もパワフルなクーパーSにはスーパーチャージャーを組み合わせた163psのエンジンに6速MTまたは6速ATが組み合わされています。

【初代MINI ONE(3DOOR)の基本スペック】

モデル名・グレード 開発コード 全長 全幅 全高
ONE(3DOOR) R50 3,630mm 1,690mm 1,430mm
排気量 最高出力/最大トルク 燃費(10.15モード) 新車価格
1,598cc 90ps/140Nm(3000rpm) 15.4km/l 195万円(税抜)

【初代MINI クーパー(3DOOR)の基本スペック】

モデル名・グレード 開発コード 全長 全幅 全高
クーパー(3DOOR) R50 3,630mm 1,690mm 1,420mm
排気量 最高出力/最大トルク 燃費(10.15モード) 新車価格
1,598cc 116ps/149Nm(4500rpm) 14.4km/l 225万円(税抜)

【初代MINI クーパーS(3DOOR)の基本スペック】

モデル名・グレード 開発コード 全長 全幅 全高
クーパーS(3DOOR) R53 3,660mm 1,690mm 1,430mm
排気量 最高出力/最大トルク 燃費(10.15モード) 新車価格
1,598cc 163ps/219Nm(4000rpm) 11.6km/l 260万円(税抜)

【初代MINI クーパーS(コンバーチブル)の基本スペック】

モデル名・グレード 開発コード 全長 全幅 全高
クーパーS(Conv) R52 3,655mm 1,690mm 1,415mm
排気量 最高出力/最大トルク 燃費(10.15モード) 新車価格
1,598cc 170ps/220Nm(4000rpm) 11.2km/l 323万円(税込)

 

 

 

 

2代目BMW MINI (2006-2013年)R55/56/57/58/59/60/61型

2代目MINIではボディタイプのバリエーションが一気に広がりました。

2006年にデビューした前期型ではこれまでの3ドアハッチバック、コンバーチブルに加え、ステーションワゴンタイプの「クラブマン」が登場。

更に2009年にデビューした後期型では「クロスオーバー(海外ではカントリーマン)」「クーペ」「ロードスター」「ペースマン」が追加され、全7種類のボディタイプを展開するまでになりました。

またグレードもこれまでのONE、クーパー、クーパーSに加え、初代モデルではオプションパワーアップパーツ扱いだったクーパーSを超えるパワーを誇るJCW(ジョン・クーパー・ワークス)がレギュラーグレードとして登場。

更にパワフルな走りを楽しむことができるようになりました。

  • クロスオーバー・・・5ドアのSUVモデル
  • クーペ・・・2ドア・2シーターモデル
  • ロードスター・・・2シーターオープンモデル
  • ペースマン・・・2ドアのSUVモデル

【2代目MINI ONE(3DOOR)後期型の基本スペック】

モデル名・グレード 開発コード 全長 全幅 全高
ONE(3DOOR) R56 3,740mm 1,685mm 1,430mm
排気量 最高出力/最大トルク 燃費(10.15モード) 新車価格
1,598cc 98ps/153Nm(3000rpm) 16.6km/l 232.9万円(税込)

【2代目MINI クラブマン(クーパー)後期型の基本スペック】

モデル名・グレード 開発コード 全長 全幅 全高
クーパー(クラブマン) R55 3,980mm 1,685mm 1,440mm
排気量 最高出力/最大トルク 燃費(10.15モード) 新車価格
1,598cc 122ps/160Nm(4250rpm) 16.0km/l 292.9万円(税込)

【2代目MINI コンバーチブル(クーパーS)後期型の基本スペック】

モデル名・グレード 開発コード 全長 全幅 全高
クーパーS(Conv) R57 3,745mm 1,685mm 1,415mm
排気量 最高出力/最大トルク 燃費(10.15モード) 新車価格
1,598cc 184ps/240Nm(1600-5000rpm) 19.2km/l 365万円(税込)

【2代目MINI クーペ(JCW)の基本スペック】

モデル名・グレード 開発コード 全長 全幅 全高
JCW(クーペ) R58 3,745mm 1,685mm 1,380mm
排気量 最高出力/最大トルク 燃費(10.15モード) 新車価格
1,598cc 211ps/260Nm(1850-5600rpm) 426万円(税込)

【2代目MINI ロードスター(クーパーS)の基本スペック】

モデル名・グレード 開発コード 全長 全幅 全高
クーパーS(ロードスター) R59 3,745mm 1,685mm 1,385mm
排気量 最高出力/最大トルク 燃費(10.15モード) 新車価格
1,598cc 184ps/240Nm(1600-5000rpm) 15.6km/l 387万円(税込)

【2代目MINI クロスオーバー・オール4(クーパーS)の基本スペック】

モデル名・グレード 開発コード 全長 全幅 全高
クーパーS(クロスオーバー・オール4) R60 4,120mm 1,790mm 1,550mm
排気量 最高出力/最大トルク 燃費(10.15モード) 新車価格
1,598cc 184ps/240Nm(1600-5000rpm) 16.6km/l 384万円(税込)

【2代目MINI ペースマン・オール4(クーパーS)の基本スペック】

モデル名・グレード 開発コード 全長 全幅 全高
クーパーS(ペースマン・オール4) R61 4,125mm 1,785mm 1,530mm
排気量 最高出力/最大トルク 燃費(10.15モード) 新車価格
1,598cc 184ps/240Nm(1600-5000rpm) 394万円(税込)

 

3代目BMW MINI (2013-現在)F54/55/56/57/60型

2013年にデビューした現行型の3代目MINIでは、これまでSUVモデルであるクロスオーバーにしか設定がなかった5ドアがハッチバックモデルやクラブマンにも設定され(クラブマンは5ドアのみ)、より使い勝手の良いモデルを選択することができるようになりました。

またボディサイズが拡大され、全モデル3ナンバーサイズになり、より一層居住性が向上。

更にこれまでSUV系のモデルにしか設定のなかったディーゼルエンジンが、コンバーチブルを除く全てのモデルで選択できるようになったのも大きなトピックです。

【3代目MINI ONE(3DOOR)の基本スペック】

モデル名・グレード 開発コード 全長 全幅 全高
ONE(3DOOR) F56 3,835mm 1,725mm 1,430mm
排気量 最高出力/最大トルク 燃費(10.15モード) 新車価格
1,198cc 102ps/180Nm(1400-3900rpm) 230万円(税込)

【3代目MINI クーパー(5DOOR)の基本スペック】

モデル名・グレード 開発コード 全長 全幅 全高
クーパー(5DOOR) F55 4,000mm 1,725mm 1,445mm
排気量 最高出力/最大トルク 燃費(10.15モード) 新車価格
1,498cc 136ps/220Nm(1250-4300rpm) 304万円(税込)

【3代目MINI クーパーS(クラブマン)の基本スペック】

モデル名・グレード 開発コード 全長 全幅 全高
クーパーS(クラブマン) F54 4,270mm 1,800mm 1,470mm
排気量 最高出力/最大トルク 燃費(10.15モード) 新車価格
1,998cc 192ps/280Nm(1250-4600rpm) 416万円(税込)

【3代目MINI クーパーD(クロスオーバー)の基本スペック】

モデル名・グレード 開発コード 全長 全幅 全高
クーパーD(クロスオーバー) F60 4,315mm 1,820mm 1,595mm
排気量 最高出力/最大トルク 燃費(10.15モード) 新車価格
1,995cc(ディーゼル) 150ps/330Nm(1750-2750rpm) 393万円(税込)

 

 

BMW MINIのラインナップ

MINI 3DOOR

クラッシック・ミニから続くコンパクトでキュートな雰囲気を今も色濃く残すのがこの3ドアモデルです。

その一方で、ツインスクロールターボのパワーと7速DCTのスムーズな変速で、最もベーシックなONEであってもキビキビとした小気味よい走りを実現。

「ONE」「クーパー」「クーパーS」「JCW」のグレードの他、ディーゼルモデルの「クーパーD」を選ぶことも可能です。

MINI 5DOOR

伝統的なMINIのデザインにさらなる使い勝手の良さをプラスしたのがこの5ドアモデルです。

3ドアモデルより160mm大きくなった全長と、70mm伸びたホイールベースによって居住性が向上し、大人4人がゆったりと寛ぐことができます(定員は5名)。

グレードは「クーパー」「クーパーS」「クーパーD」の3グレード設定です。

MINI CONVERTIBLE

人生を楽しくさせるクルマMINIの中でも、最も華やかで楽しいモデルといえるのがこのコンバーチブルです。

わずか18秒でフルオープンになる電動ソフトトップを開け放てば、乗る人を非日常の世界にいざなってくれます。

グレードは「クーパー」「クーパーS」「JCW」が設定されています。

MINI CLUBMAN

通常時360L、後部シートを倒した最大時には1,205Lもの広大なラゲッジスペースを持つクラブマン。

高い実用性を備え、様々な用途に活用できる1台です。

伝統の「観音開き」のテールゲートも魅力。

グレードは「クーパー」「クーパーS」「クーパーD」「JCW」の4グレード設定です。

 

MINI CROSSOVER

流行を越え、世界中でベーシックなクルマのスタイルとして定着しつつあるSUV。

そんなSUVのMINI流の解釈がこのクロスオーバーです。

通常時450L、後部シートを倒した最大時には1,390Lというラゲッジスペースはクラブマンをしのぎ、MINIの中で最大。

圧倒的な実用性を誇ります。

また4輪駆動システムである「ALL4」を選択できるのもポイントで、キャンプやスキーといったアウトドアに大活躍すること間違いなしです。

グレードはディーゼルモデルである「クーパーD」、その4輪駆動モデルである「クーバーD ALL4」の他、更にパワフルなディーゼルエンジンを積んだ」クーパーSD ALL4」や、MINI唯一のPHEVである「クーパーSE ALL4」、「JCW」を選ぶこともできます。

 

MINI JOHN COOPER WORKS

「クーパー」の名前の由来となった伝説のエンジニア、ジョン・クーパー。

そのジョン・クーパーの息子マイク・クーパーが立ち上げたチューニング集団がJCW(ジョン・クーパー・ワークス)です。

MINI JOHN COOPER WORKSはそのJCWの名を冠したMINIで最もハイパフォーマンスなモデル。

306psのパワーと450Nmの最大トルクを発生し(クラブマンとクロスオーバー)、0-100km/hの加速は4.9秒(クラブマン)とスポーツモデルと呼ぶにふさわしい圧倒的な加速を実現します。

設定されるのは3DOORとコンバーチブル、クラブマン、クロスオーバーの4モデルです。

 

まとめ

BMWとはまた異なった独自の世界観を持つBMW MINI。

その独特なデザインや走行フィールを一度試されてみてはいかがでしょうか。

ライター情報

BMW Column編集部

BMW Column編集部です。 このコラムでは、車にまつわる情報、BMWに関する面白くてタメになる知識を発信していきます。ぜひ更新を楽しみにしていてください♪